Banrai通信
Vol.7
萬来鍋はこうして生まれた
一九九八年、私が出勤しますと机の上に1枚のコピーと一枚のメモがありました。
当時一線を退いていた私の父が置いていったものです。
メモには「こんな会社もあるぞ」と書いてありました。
大ヒットした豆クック
大ヒットした豆クック
それはプルトップ缶の発明でトップを取った東京大田区の町工場の記事で、当社と社員数も同じ、なのに独創的な商品を追求するところに、感銘を受けました。
今まで、大きな受注を追っかけていて苦渋の毎日、切り口を変えて小さい設備なら別の用途があるのではないかと考えました。
当時私は社長を交代して数年目のころで、とても厳しい状態にありました。
「これは凄いなぁ。」
早速取り掛かったのが、スーパーやレストラン、居酒屋さんなどの僅かなスペースでも豆腐を作れるものです。
これはその年に完成をしました。名前は「豆クック」
韓国からもオーダーがありましたが、残念ながら特許が取れず直ぐに他社に追いつかれてしまいました。
その頃だったと思いますが、韓国出張のときに立ち寄ったスーパーでのことです。
職業柄でしょうか。豆腐を販売しているところに目が行きました。
当社の豆腐製造機を使って、豆腐を作り直接販売しているではありませんか。
少し話をしてみると、「この機械いいよ。よくこの豆腐売れる」
と嬉しそうに話してくれたのです。
その時に、やっぱりお客さんの喜ぶ顔が一番いい。と改めて思いました。
「これは何とか。もう一度お客さんが喜ぶものを作ろう。」
そう決意したのです。
代表の南川です
代表の南川です
知り合いと飲んでいるとき「豆腐ってどうやって作るのか」と聞かれて、豆腐を作る手順を説明していました。
「えっ、豆腐って温かいのか?」
私にとっては、当たり前のことだったのですが、えっそんなことも知らないんだぁ。
そんなことがあり、もう一度スーパーや居酒屋さんに意見を聞きました。
そうしましたら、「できたて豆腐って、本当に店で作っているのか?」と疑われてしまうというのです。これには参りました。
すると、作っているところが見えない限り、お客さんは 「できたて豆腐」ってぇことにはならないのか。
早速私は、目の前で作れるような市販の鍋を買ってきました。
土鍋、鉄製の鍋、アルミの鍋など7種類ほど準備しました。そこに豆乳を入れて、豆腐を作ってみたのですが、どうしても「ス」と「焦げ」が出来てしまうのです。
まあ、当然と言えば当然ですが。
ご存知の方もみえると思いますが、水につけて浸漬し柔らかくした大豆を水とともに擦って砕きながら、煮出します。これをしぼったものが所謂豆乳です。(しぼった後の粕がおからですが。)
この豆乳がまだ熱いうちににがり(凝固剤)を加えると、豆乳がプリン状に固まります。これが豆腐です。
蒸気二重鍋方式
蒸気二重鍋方式
温度や混ぜ具合がとても重要で、なかなか職人でもにがり一〇〇%の豆腐はできません。
これを解決するために夜中の十一時十二時まで実験を重ねました。
そこで湯煎による方法思いつき、自社でステンレスの鍋を作って「ス」と「焦げ」を解決することに没頭しました。
もう一つ問題がありました。それは時間です。
目の前で作るということは、お客さんが待っている間に出来なければならないということです。
目玉焼きに水を入れて焼く原理をヒントに 蒸気を使うことを思いつき、一気に解決への道が開けたのです。
それは、このアイデアを思いついて、半年後のことでした。
そんな訳で、私は遂に蒸気二重鍋方式を思いついたのです。
しかし、この試作機では、どうみても犬の餌じゃぁ在るまいし、お客さんの前に出せなかったのです。(続く)
豆腐マメ知識
最近国内海外で豆腐のセミナーをやらせていただく機会も増えました。「豆腐の伝道師」としてオタク的観点から少し「豆腐」のルーツについて説明させていただきます。
豆腐は、いろいろな文献もみても中国伝来の食品であることは間違いありません。一六世紀に編纂(へんさん)された『本草綱目』によれば紀元前2世紀、前漢時代の淮(わい)南王(なんおう)・劉安(りゅうあん)にちなむともいわれています。
16世紀に編纂された本草綱目
16世紀に編纂された本草綱目
しかし、これも諸説あって、実際のところは詳しくわかっていません。豆腐のルーツとして説得力のあるのは唐代(618〜907)あたりではないかといわれています。日本へは奈良時代に遣唐使によって伝えられたとされますが、主として貴族階級や僧侶たちの間で用いられ、一般に広まったのは室町時代以降のようです。
「豆腐という文字の解釈をめぐっては「納豆」と反対ではないかという見方もありますが、漢民族の「腐」は液相でも固相でもないぶよぶよした脳みそ状のものを腐と名づけており、単純に腐るという意味ではなさそうです。
日本では食品に「腐る」という字を用いることを嫌って、豆富や豆冨などと記すこともあります。(豆が腐っているということはないので、こちらの方がいいですよね)
豆腐を好んだ作家泉鏡花は、極端な潔癖症でもあったことから豆府と表記したそうです。中国で生まれた豆腐は日本で独特の進化をとげました。オカラの分離方法も生絞りから煮絞りにかわりました。柔らい絹ごし豆腐などや生食できる豆腐など 今や日本の豆腐製造技術は中国や韓国などアジア諸国をはじめ米国、欧州まで広がり。「tofu」は世界の食品になっています。
自家製豆腐に挑戦しかし・・・割烹若紀久喜旬さん
若紀久さん
今回は、萬来鍋を3年前よりご利用頂いています。
地元三重県四日市市の割烹若紀久喜旬様にインタビューさせて頂きました。
若紀久喜旬様は、先々代が50年前、魚石という仕出しの魚屋から鳥料理の鳥紀久を立ち上げたのが始まりだそうです。
その後、若紀久と改名されて、若紀久喜旬としては3年前今のところに移転されたそうです。
やはり料理をしていて一番嬉しいのは、お客さんに美味いなぁと言われることです。
いつも新しい料理は考えています。しかし新しい料理を思い付くのも大変ですが、お客さんに、美味い!と言われる料理はそう簡単に造れるものではありません。
そのときは、おいしい豆腐を、お客さんに出したいと思いつきました。
やる以上は、中途半端では納得がいきませんので、大豆を選ぶところから始めました。
まず豆腐を作る道具を買ってきて、大豆から豆乳を作り始めました。
ニガリも色々と試してみました。 その結果、納得の出来る味が出来たのです。
しかし問題がありました。手間が大変なのです。
豆腐を専門に作っているのならば、兎も角。他の料理の下ごしらえもありますので、残念ながら断念しました。
その後豆腐については、忘れていました。
ところが、しばらくしてある人から豆腐を料理に出してみませんか?という話を貰ったのです。
直ぐに私は先ほどの話をしました。
そうしましたら、お客さんの目の前で豆腐を作るのだというのです。
そして1本のDVDを見せてくれたのです。
それが萬来鍋を紹介したDVDでした。
これは面白いと思いましたが、私としては味が問題です。
そこで早速ミナミ産業の担当の山川さんに来て頂き、実演をしてもらうことになりました。
若紀久の若大将石田さんです
若紀久の若大将石田さんです。
調理の仕方は非常に簡単でした。まず固形燃料を置き、萬来鍋をその上にセットし、外鍋に少しだけ水を入れます。ほんの少しだけです。
その上に内鍋を乗せます。
その内鍋に豆乳を入れ、さらにニガリを入れて軽くかき混ぜます。
そしてふたを閉め、固形燃料に火を入れるだけでした。
それから待つこと10分。固形燃料の火がすっかり消えたところで
山川さんが「これで、出来上がりです」
こんなに簡単でいいの?とちょっと疑いましたが、そっとふたを取ってみますと、固まっていました。
恐る恐るスプーンですくって、食べてみるとこれが、いけるんです。
「如何ですか?」と聞かれて
「味はこれで十分ですね」と答えた記憶があります。
そのとき、導入はしたいと思ったのですが、採算が取れるかどうか心配でした。実際に配膳の係りだけで出来るかどうかも不安でしたので、取り合えず3セットほど購入してみました。(今はお試しセットがあるようですが)
店に出す前に実際にやってみて、かき回し方が悪く一回だけ失敗しましたので、直ぐにご贔屓にして頂いているお客さんに出してみましたところ、お客さんが触ってしまって豆腐が傾いて見栄えが悪くなった程度で、大きなトラブルはほとんどありませんでした
厨房の手間を取らないのがとても良かったです。
運用をやってみて、本格的に追加で注文をしようと思ったのですが、もう一つの問題は売値です。
店のアドバイスをして貰っている方と相談したところ「△×○円で売ったら」と言われましたが、さすがに自信がなく「本当に大丈夫?」と聞き返すと秘策を出しくれました。
それが差し込み広告というものです。 箸袋に差し込んで出しメニューを選ぶ数分間でその豆腐を選んでもらうというものです。
その差込広告には、豆腐の特徴やうまい食べ方が文章に載っています。
それを見るとすぐに、「これひとつ!」と注文されるのです。
こんな方法でメニューに加えました。
最初は、手間を考えて、そのままの形で、できたて豆冨(温奴)だけで始めました。その年の夏にはザル豆冨を始めました。
やはり宴会のときの一品として追加するのが非常にいいです。
お客さんの評判もよいので、大変気に入っています。
今年からは豆腐サラダや出来立て生ウニ豆冨としても出しております。
差込広告 何種類も作りました
差込広告 何種類も作りました

「国際食品工業展」に出展 FOOMAという食品工業展が毎年行われています。
今年も昨年に引き続き出展をすることになりました。
この展示会は食品安全・流通システム、安心原料・調味料、食品調理機材などが展示されます。
「国際食品工業展」に出展

FOOMAという食品工業展が毎年行われています。
今年も昨年に引き続き出展をすることになりました。
この展示会は食品安全・流通システム、安心原料・調味料、食品調理機材などが展示されます。
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